何だか、本日、Twitterでお墓の勧誘についてツイートしたら、皆さんにやたらに共感していただいて驚いているのですが、ここはひとつ、淡々と東海道の話を・・・。
さて、そんなわけで、東海道徒歩の旅なのだ。
前回の旅より約半年、2012年11月18日。
おれはまた、気分は勇ましく旅に出たのだ。お供はいつもの妻のお多津、息子のゴンちゃん4歳半、娘のベー子1歳ちょっとである。
ベー子はよたよたながら歩けるようになったけれど、そのスピードに合わせていたら本日の目標、戸塚藤沢間約8kmは歩ききれないので、ベビーカーを押しての旅である。
前回の終着地点、戸塚駅を出発し、100m程脇道を通って、まずは東海道へ出なければいけない。
と、その脇道の街路樹の足元にネコジャラシが生えていた。
このところゴンはネコジャラシに目がなく、見つけると「ジャラシ、ジャラシ」と駆け寄ってネコジャラシを引っこ抜き、ぶん回す。この日ももちろん「ジャラシ、ジャラシ」だ。
本来の出発点にまだたどり着いてもいないのに、こんなところでネコジャラシに引っかかるとは。これじゃゴンジャラシじゃないかといまいましく思ったけれど、ここでイラついていてはスタート自体が危うくなる。
明るく楽しくやり過ごす私であった。
さて、そうやって東海道の道筋へでて、本日の旅は始まったのである。
するとすぐそこにショッピングセンターがあった。
ちょっとトイレを借りようか、と入ったら、ラーメン屋があって、時間もちょうど昼時。
「じゃあ、ラーメンでも食うか」
なんてことになって、これはほんとに出発しているのであるか???と不安になる私であった。
そんなこんなで腹ごしらえをして、やっとこさ出発したのであるが、今度はほんの数十メートルで清源院というお寺があった。
ここまでの旅で、毎回一か所は道すがらのお寺や神社で御朱印をいただいているので、このお寺でいただいていくことにした。
するとこのお寺の境内、砂利を敷いた広い庭があって、御朱印を書いていただくのを待っている間、今度はゴンとベー子で地面に座り込んで砂利をぐるぐるかき回して遊び始めた。これがまたいつ終わるのかわからない。
そんな二人を説得し、やっとこさ出発できたと思ったら、お寺の出口の石段でなぜかゴンは座り来み、背中からリュックを下ろして持参のスケッチブックに何やらお絵かきを始める始末。
しかし、これでゴンの絵が53枚集まれば、何か東海道53次の新しいシリーズでもできるか、とか親ばか的に考えて、じっと絵の完成を待つ私であったが、出来た絵は何かカラフルなぐるぐるであった。
こんな調子なので、この旅、全く進まない。かれこれ戸塚駅を出てから1時間40分たったのだが、進んだ距離は300mくらいなのだ。
もうだめだ、お多津よ、ゴンよ、ベー子よ、歩みを進めようではないか。
本当に今日、藤沢まで着くのだろうかと、ちょっと不安になりながら歩いていると、今度はお多津が
「あ!」
と言っている。今度は何だと思ったら、道の反対側に和菓子屋さんを見つけたのであった。彼女は前回の旅から極私的東海道53味覚を実践し始めて、お菓子屋さんを見つけたら入ることにしたようなのである。
なかなか前進は難しいのである。
こうやってそれでも進んでいくと、冨塚八幡宮に着いた。
その由来の説明板を読むと、この神社の建つ丘の上に古墳があり、その古墳を「冨塚」とよんだことから町の名前が「戸塚」になったと伝わる、、、という事が書いてある。
なに? 古墳? 予期せぬ展開に驚いた。
そして、その古墳というのは古墳の王様、前方後円墳だというのだ。
何を隠そう、わたくし、古墳も愛してやまないので、これはたまらない。
喜び勇んで石段を登り、上の拝殿へお参りして、古墳探しを始めた。古墳は拝殿の裏にある、というのでずいぶん周辺を歩き回ったのだが、どうもどこが古墳だかよく分からなかった。きっとこれがそうだろうというふくらみを見つけて一応納得して降りてきたのだが、どうも不完全燃焼の私であった。
まあ、しかし、ここで引っかかっていては本当にゴールできない。
いよいよ本腰を入れて、ここからぐいぐい歩くことにした。道も国道1号線と合流し、味気ない通りになってくる。ゴンは長い上り坂を力強く前進し、成長の片りんを見せつけたのだが、坂を上り切ったとたん、全力でくじけてしまい、どうにも動かないので、おれがおんぶをすることになった。
道はところどころ松並木などあり、古い街道の気配も感じさせたが、全体的には車通りの多い国道で、歩いていてそんなに楽しい道ではなかった。
そうして、国道一号からまた旧道に分かれ、長い下り坂を下ると遊行寺に着いた。
もう夕方だからか広い境内には誰もおらず、西日も沈んできて少し寂しい感じだったが、ここで小休止して、さっきお多津が和菓子屋さんで買ってきたお菓子を食べた。
そうして薄暗くなってきた遊行寺を出、日も沈んで夕闇が迫った17:30、最後はベー子もベビーカーを降りて自力で歩く気合を見せ、何とか目標の小田急線藤沢本町駅へ着いたのであった。
終わりよければすべてよし。
古墳だけいつか、もう一度見に行こう。ちょっとだけ思い残すことがありつつ、帰路に就いたわたくしでありました。
(つづく)
本日の歩行時間:6時間
歩行距離:8km