古墳の旅

飯田、まさかの古墳天国

御射山獅子塚古墳と風越山

今年の古墳は今年のうちに、と思い立ちまして、ただいま2020年12月31日、夕方の5時過ぎでありまして、この季節ともなると外はもう暗くなっているし、あとは紅白でも観て一杯やって今年も終わり、という呑気な時間なのでありますが、ああ、しかし、こないだ見てきた飯田の古墳のこと、まだ書き留めてないよなあ、今年の事は今年のうちに、今年の古墳は今年のうちにだよなあ、と年も押し迫ったこんな時間に、おもむろにこれを書き始めたのであります。

飯田に行ったのは2週間ほど前で、仕事があっていったのですが、思ったより早く仕事が終わったので、それじゃあ、この辺に古墳があったら見てこうかな、なんて思ってGoogle Mapで調べたわけです。

そうしたら、割と近くに一つの古墳がありまして、それじゃあ、と寄ってみたのです。

御射山獅子塚古墳

「どうせ円墳だろう」

なんて思って行ってみたら、その「御射山獅子塚古墳」、古墳の親玉、前方後円墳で、しかも古墳の向こうには飯田を象徴する山、風越山が望めるという、実に貫録のある古墳だったのです。

それに気を良くして、もう少し車を進めると、今度は道路わきにポコッと塚が現れて、あわてて車を道端にとめて覗きに行くと、これまた古墳でありまして、今度は立派な石室が開いているわけです。こちらの「おかん塚古墳」も元々は前方後円墳だったようですが、前方部分が削られてしまったようです。

おかん塚古墳

先程の御射山獅子塚古墳もこのおかん塚古墳も、古墳の周辺に現在のお墓が寄り添うように立てられていて、なんか古墳が今の生活の中に生きているようでうれしくなったのであります。

さて、さらに気を良くして地図を見るとこの先に「飯沼天神塚(雲彩寺)古墳」というのがあります。なんだか素敵な古墳のようです。

「じゃあここも寄って帰ろう」

と車を走らせたのですが、この古墳、お寺の境内にありまして、門の前の駐車場に車を止めて、門まで歩いていくと、

「あれ、なんかここ来たことあるぞ」

という気がします。

こんな感じの門をくぐって、右手のガラスの縁側で昔、、、と思いつつ右手を見ると、ガラスの縁側があるじゃありませんか!

あ! ここ、来たことある!

驚きました。

ずいぶん昔、江戸時代の旅人、菅江真澄のことを祖父と調べていた時に、このお寺に伝わる「鈴」について真澄が旅日記に記してあるのを読んで、このお寺を訪ねた事があったのです。

そのとき、このガラスの縁側に上げて頂いてその「鈴」も見せて頂きました。

真澄の日記には

光前寺という寺があり、甲斐守であった信玄が所持された駅路の鈴というものがそこにある。伊那郡の雲彩寺にあった権五郎景政の古い調度品を見たが、この鈴もおなじものであった。

と書いてあって、信玄は戦国時代だし、権五郎景政は、私不勉強でいまネットで調べたのを正直に書いてしまうけれども、平安時代後期の人のようだし、どちらにしても古墳時代とは全然合わないのだけど、おそらく古墳から出土したのであろう、その「鈴」を見せて頂いたことがあったのでありました。

しかし、その時、菅江真澄も見たであろう「鈴」には興味を持っていたのだけれど、お寺のすぐわきにあるこのでっかい前方後円墳を見学させていただいた記憶がない。

われながら何という片手落ちな見学だったんだろう、と思いつつ、今回は古墳を見学させていただくと、いやはや実に立派な前方後円墳で、そのくびれに食い込むようにお寺の本堂が立てられていて、なおさら前回の我が観察力の無さが悲しいほどなのでありました。

飯沼天神塚(雲彩寺)古墳

一度、この記事を投稿してから、昔、菅江真澄の事を調べていたころのファイルを見返していたら、やはり、2001年5月(19年前!)に祖父とこのお寺を訪ねていたことが分かりました。

その時にお寺の方に見せて頂いた、馬鈴と金環の写真が出てきたので、載せておきます。(2021.1.15追記)

さて、そうして、「飯沼天神塚(雲彩寺)古墳」を堪能し、裏手の道を適当に走っていくと、道は元善光寺というお寺の前を通ります。せっかくなのでお参りをして、そのまままたぐんぐん走っていくと!

「!!!!」

あ!古墳だ!

こうやって、事前の知識がなく目の前に突然現れる古墳というのがたまりません。

しかも、明らかに前方後円墳です。

あわてて車を寄せて、また見物させてもらいます。

大きな前方後円墳で、てっぺんには社が立ち、後円部のよこっちょにはおちょぼ口のように石室が口を開けています。

高岡第一号古墳

そして驚いたことに、こんなに大きくて形も崩れずに残っている前方後円墳なのにそのお名前が「高岡第一号古墳」! なんて控えめ。第一号って「沢山あるうちのひとつ」って感じじゃん。

素敵に控えめなそのお姿を堪能いたしました。

さあ、ここでですよ。飯田おそるべし。

私はもうすっかり、古墳散歩を満喫しまして、さあ、うちへ帰ろう、と高速のインターへ向けてハンドルを切ったのであります。

そしたら!

また、古墳が出てくるのです。この町。

武陵地一号墳(秋葉塔の塚)

全く知らなかったのですが、飯田、古墳天国だったのであります。

またいつか、ゆっくり行こうと思います。

そんなわけで、今年の古墳は今年のうちにご報告できそうです。

皆さん、良いお年を!

(さあ、紅白見るぞ。)

 

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